木・竹・皮など天然素材を生かしたものが多く、近代・現代西洋音楽の複雑な機構を備えたピアノやベーム式フルートなどの楽器と比較すると、構造は簡潔で、操作のための器具がシンプルであったり無かったりする。西洋音楽は、その発達の段階で旋法から調性に基づくようになり、純正律に代えて転調に有利な平均律を導入してきた。そのような体系化の中で、楽器に複雑な機構を要求するようにもなった。
日本の音楽ではこれらのことを実現するための複雑な機構を求めるケースは少なく、あっても調弦変えや持ち替えなど、演奏者の奏法上の工夫で十分対応できた。近世邦楽では特に、演奏家の直接的な操作でしか表現できない微妙な音色、音程、余韻の変化などを積極的に利用、追求して来た。
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このような微妙なものに重きを置く考えは非常に根強いもので、現代でもほとんどの和楽器が基本的に江戸時代の姿を変えていない。西洋楽器の影響を受けて「近代化」したものが少なくない中国楽器とは対照的である。
また、楽器の改良もシンプルな方向に進むことが多かった。尺八、幕末の一弦琴や二弦琴はその最たる例である。簡潔さの中にこそ美があり、そこにこそ魂、霊が宿り、神や仏に近づくという日本古来の美意識、思想が音に反映された現れといえる。ただし、近親調への転調は近世邦楽では非常に多い。